研究室の片付けは、お早めに。

古本屋は文学を中心に扱っているところが多い。当店も、もちろん文芸書が置いてあるが、店主はこどものころから小説や物語よりも、むしろ図鑑やノンフィクションを好んできたので、よみた屋の書棚も学術書や思想書の割合が多い。6万冊の蔵書の内、文庫をのぞくと8割が非文芸書だ。

学術書の買い取りをいやがる本屋もあるのだが、それは社会科学や国文学など、最近値が下がった分野や、理工書など扱いにくい分野があるからだろう。(ここでは、専門書お断りの新古書店は別にしても)。

よみた屋は「総合古書店」を標榜しているので、どんなジャンルの本も買い取りする。安い本は安いなりにちゃんと評価すればいいのである。マルクス経済学の本の需要は30年前とくらべて10分の1以下である。価格もそれに比例する。事実なのだから、そのとおりお客様にお伝えして、現在の価値として適正な価格を査定する。本の内容の価値と価格とは別なのだ。

学術書を読む人は、研究者や著述業の方など、プロがやはり多い。よみた屋が買い取りする先も、大学の先生がかなりの部分を占める。これから、大学の先生が異動するシーズンである。おそらく、これから大学研究室への出張買い取りの依頼を受けることになる。

片付けは得意だから、大学研究室にあるような書籍なら、3000冊ぐらいは1日で運び出せる。しかし。他のことに忙しいからだろう。蔵書の片付けは後回しになるようだ。切羽詰まってからの相談になりやすい。

「今週中に部屋を明け渡さなければならないのだが」

頼まれればやるけれど、なるべく早めに電話してください。